三日月と獅子、そして太陽

主に、訪問した展覧会について、感想を書くブログです。

赤について反芻する帰り道

 「朱色?茜色?紅色?…いや、これは真朱なのかな?」

 

一応印刷業の端くれである私は、錆びつきかけた色の知識を紐解きつつ、そんな事を考えながら、この日の帰路についたのだった。

 f:id:Hirolyn:20210929204249j:plain

 

元永紅子展
「いろかげ」
2021.9.1(水)-9.15(水) ※9.22(水)まで延長
11:00-18:00 ※最終日は16:00まで
ギャラリー島田 1F deux & trois

http://gallery-shimada.com/

 

まるで、芋虫がかじり取った後の葉のような、あるいは無造作に破り取った紙片の様な形状。その赤い物体に近づく。

 

「赤に飲み込まれる!」

「赤の世界に引きずり込まれる!」

 

そう思った。それくらい強い赤だった。作品に顔を近づけてみると、その赤は、絵の具を糸の様に何度も何度も重ねて描かれていることが分かる。そうやって、取り込まれたその場所は、とても温かい場所に感じた。

 

その温かみの正体が分からなかったのですが、作者の元永紅子さんが、今回の個展にあたって書き起こされた一文を読んで納得。なるほど、気が遠くなるほど無限に重ねられた絵の具の糸は 、繭を形作る糸の様に紡ぎ出された線なんですね。

 

この赤い作品をずっと見ていると、朱色だったり、茜色だったり、紅色だったり、色々な赤が浮かび上がって来ました。もちろん、使っている赤の絵の具は、「○○色」のように、はっきりしていると思います。が、細い糸のようにして、絵の具を重ね合わせることで生まれる陰影と色のが、赤に様々な赤を内包させたのではないか…と感じるのです。

 

 

gallery-shimada.com